時間栄養学・自律神経から紐解く:食事のタイミング(朝食など)や方法
前回までは、食事の内容・質に関して大事なことをざっとお話しました。今回は、朝食は取るべきか否かなどの【食事の摂るタイミングとその方法】について、時間栄養学と自律神経の面から紐解いてお話していきます。
時間栄養学
生命に存在する【時計遺伝子】の発見から、体内時計の機能解明が発達していきました。その体内時計には、栄養の吸収・代謝に関わるものも多数発見されています。
食事や栄養を考えるときに、「何を・どれだけ・いつ」を意識すると、ヒトの自然治癒力を引き出すことに貢献でき、予防・健康に繋がるとされています。
中枢時計と末梢時計
体内時計には、中枢時計(脳の視交差上核にある)と末梢時計(臓器や全身の細胞)が存在します。この2つの時計が正確に機能することで身体は正確な生命のリズムを刻むことができます。
この生命のリズムが狂いだすと、全身のバランスが乱れ(自然との不調和)、不調・病気に繋がってくるというのは、容易に想像できますよね。
しかし、ヒトの体内時計は24時間キッチリ!ではなく、24時間+10~30分程度の誤差があります。この誤差が蓄積していくと、どんどん生命リズムが崩れていきます。
なので、毎日時計をリセットして合わせる必要があるのです。
中枢時計は、光によって毎日リセットがかかります。そう、朝日です。太陽を浴びることは健康に良いと昔から言われていますが、時間医学では、こういった大切な意味もあるのです。
しかし、これでは末梢時計はまだリセットされません。末梢時計がリセットするためのスイッチとなるのが、食事! リセットとなる食事が、朝食となるのです。
--朝食問題--
朝食が、1日の生命リズムのカギを握っているわけですから、朝食を食べないという選択は絶対にしないでいただきたいですね。
夕食からかなりの時間が経っていることもあり、身体は軽い断食状態ですからね。英語で朝食を「break-fast」と言いますが、断食(fast)を破る(break)という意味も込められているのです。
かと言って、朝はお腹が空かないという人もいるでしょう。『ここは身体の声を聴いて、朝は食べないでおこう』と考えるのは、なんとも惜しいというか、微妙な賢明さというか…。
確かに、私も『身体の声を聴くことは何よりも大事』と思っていますし、自分の感覚を磨くことにも繋がるので、そこについては正しい判断と言えるでしょう。
ですが!!その身体の声は、【朝の自分の状態】に向けて発されています。もっと言うと、【朝起きて、身体の声を聴けるだけの意識が復活した今のあなた】に向けての声です。
言い回しがくどくて面倒くさいですね、ごめんなさい。(笑)
つまり、お腹が空かないという原因は、朝起きてから始まるものではないと私個人は思います。
たいていの原因は、その声(お腹が空かない状態)より前の行動にあります。
朝起きる時間帯や、昨夜や昨日1日の自分の行動などで決まってしまいます。
本来、軽い断食を終える朝はエネルギーを必要としているもの。後々説明する自律神経との関連を考慮しても、欠食だけは行わないほうが良いでしょう。
内臓のサーカディアン(概日)リズム
ここで、一旦話を体内時計に戻します。
アメリカの医師らにより生まれた【ナチュラル-ハイジーン】という健康理論があります。ハイジーンとは健康を保ち、病気を予防するための原則の理論とされており、語源はギリシャ語のハイジーア(健康の女神)。でましたギリシャ。…ということは…ヒポクラテスの出番かな?(笑)
------------ -------- -------- -------
1830年代、薬や手術を主流とする西洋医学に対し疑問を抱いていたアメリカの医師らがいたという背景があり、その医師らが学問的に体系づけた健康理論。
その医師らが最も重要視していたのが、医学の父と言われたヒポクラテスの「健康=自然と調和すること」(…やはりでましたね。笑)
その原点を大切にしつつ、発展させていく中で、人間の消化活動には3つのサイクルがあるとしました。それが、こちら↓
4:00~ 12:00 = 排泄
12:00~ 20:00 = 摂取
20:00~4:00 =吸収
------------ -------- -------- -------
非常にわかりやすいですね。しかし、この理論では朝は排泄の時間だから、朝食は摂らないほうがいいのでは?と思ってしまうでしょう。
しかし、ナチュラル-ハイジーンさんも朝食を抜くというのはご法度のようで、ちゃんと対策案がありますね。それが、『朝食は果物だけを摂る!』
なぜこの対策かというと、果物にはそれ自体に消化酵素が多量に含まれているため、内臓の排泄作用を邪魔しないだけでなく、栄養・水分もしっかり摂れるから。
最初、このナチュラル-ハイジーンを知ったとき、「ふむ。合点承知の助。」と思わず頷いたのを覚えています。今はこの考え方の一部を私も取り入れています。
なぜ一部かというと、これもマクロビ同様、ルールがとてつもなく厳しい…。(マクロビ以上かも)食事が楽しくなくなる危険性:大 だからです。
私は先ほど紹介した消化の3つのサイクルと、内臓負担を軽減するための、朝食の消化酵素を含むものを少し意識して摂るというのだけ、自身の食生活に取り入れています。一日の活動にしっかりエネルギーを回して行けている感覚があります。身体の反応は良好ですね。
--自律神経と食事--
自律神経と体内時計は密接に関わり合っています。
自律神経は、一日の中で活動的に動くとき、リラックスするときで交感神経・副交感神経を使い分けています。
時間で言えば、朝から昼にかけては交感神経、夕方から夜にかけては副交感神経が優位になりますね。
内臓からの情報を脳へ伝達し、脳で統合・指令を出す際も、自律神経の助けがあってこそ成せることなのです。
なので、生命リズム(体内時計)が乱れると、自律神経も乱れます。逆もまた然りです。相互に大きな影響を及ぼしてしまうのです。
だからこそ、食事の乱れは体内時計・自律神経の乱れに直結します。
ところで、朝は【自律神経の嵐】と呼ばれています。
身体が睡眠状態から覚醒へと移る最中で、副交感神経から交感神経優位へと切り替わる時間帯です。そのため、 血圧・心拍数などが急上昇し、自律神経系の状態が不安定になりやすくなります。
※ 早朝に、脳血管障害や心臓関連病の発症率が多いのは、自律神経が不安定なことが1つの起因となっているのです。
もし、仕事や学校がある日で、ギリギリまでだらだら寝ていたらどうなるでしょうか?時間がないから焦って準備しますよね。朝ご飯なんてもってのほか。通勤・通学も走ることになるでしょう。
・・・もう、それこそ自律神経の嵐です。いえ、大嵐です。(笑)
交感神経の爆上げモードです。朝の自律神経の乱れは修復されるまでに何時間もかかると言われています。それほど、朝の自律神経の嵐の影響は大きいのです。
この嵐を起こさないためにも、朝食が大事なのです。朝食は内臓や細胞などの末梢時計のスイッチを入れてくれるので、それだけで生命リズムが整います。
また、朝食を摂るには、ゆったりとした時間を確保する必要がありますよね。この【ゆったり】がとっても大事。朝をゆったりと過ごすことで、副交感神経が働き、急に優位になった交感神経を緩やかに穏やかにしてくれるのです。
そもそも、食事自体、副交感神経が優位に働く行為です。
その副交感神経を持続させるためにも、朝食後も、温かいお茶でも飲める時間があると尚良いですね!
私は毎朝このくらいの余裕を持って、ゆったりと通勤しています。まるで休日のお散歩みたいに。(笑)
今回はここまで!次回は何を更新しよう・・・。ゆったり考えることにします(*'▽')