自然を巡る生き方。 -生命と自然治癒力-

自然に則して生きることができたら、生命はもっと幸せなのだと思う。

脊柱と呼吸の切っても切れない関係性とは?

 前回は、呼吸に関係のある部位:『胸郭』についてお話してきました。
↓ ↓ ↓

 

meguri-sora.hatenablog.com

 

 今回は呼吸と深い関係を持つ3つめの部位『脊柱』についてお話していきます。

 

 

 脊柱について

 

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 脊柱の構造をちょこっとお話しておきます。
脊柱は上の絵のように、S字カーブを描くように存在しています。

頸椎=前湾 
胸椎=後湾 
腰椎=前湾 
仙椎=後湾

このように、前、後と交互にうねうねしていますね。
このS字カーブのおかげで、

・呼吸・運動の柔軟性
・全身の平衡性(バランス)
・動きの巧緻性
・歩行時の衝撃吸収

…などなど、ヒトが生きる上で様々な恩恵を受けているのです。

 呼吸や運動だけでなく、脊柱には脊髄自律神経などのヒトの生命活動に必須な機能も収められているので、この脊柱のメンテナンスは非常に重要です。まさにヒトの中心に位置している大黒柱!巷では「若さのバロメーター、指標」とも呼ばれているのですが、納得ですよね。

 

脊柱と呼吸の関係性

 

 

 『呼吸のとき、脊柱は動きます。

脊柱がしなるように動くことで呼吸のしやすさが格段に変わります。

息を吸うとき、
①横隔膜が下がることで内臓を下に押し出します。このとき、腰椎・骨盤はそれに伴い前弯します。
②その後、胸郭が拡大する動きに合わせて、胸椎の丸み(後湾)は少し増えます。


息を吐くときは元に戻ります。(小さな動きです)

「え、息吸うときは背中は反ったほうが良いんじゃないの?」

と、思われる方もいるかもしれません。ラジオ体操とか、深呼吸とかで息をたっぷり吸うときは胸を開いて身体を反らす、ということが染みついているので仕方のないことです。

正確には、背中全体が反るのではなく、骨盤~腰椎部がわずかに反ります。

むしろ、胸椎のほうは丸みを帯びます。

肺は、身体の前だけじゃなく、背中側にも膨らみます。
(比喩として、「背中に息を入れるように」と表現されるのはこのため。)

わかりやすいように、図を使って説明します。

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この図は、ヒトの身体(胸部)を上から輪切りした図です。
図の下にあるトゲトゲしているものが、棘突起というもので、ヒトの背骨を触ったときに触れることのできる骨はコイツです。

その上の、緑で囲った部分が『脊柱』です。

次に、肺を写したものがコチラ↓ ↓ ↓

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緑で囲ったものは『脊柱』で、白に囲まれている黒の物体が『肺』です。

こう見るとわかりますが、肺は脊柱を超える位置にまで背中側に膨らんでいるのです。本来の肺はここまで膨らむのです。上は鎖骨のあたりまで、下はみぞおちあたりまで、後ろは脊柱よりも後ろまで・・・。バケモノなみに膨らみます。たいしたもんだ。(笑)

 

脊柱よりも後ろまで肺が膨らむので、息を吸ったときには胸椎は後湾することで肺の拡がりを邪魔しないようにしています。このとき、我々が身体を反らしてしまうと、肺の膨らみを邪魔してしまうのです。


反るのは、『骨盤~腰椎部分』。

ここは意識して反ってはいけません。変な力が入り、腰痛になる可能性もあります。あくまでも、横隔膜が下がることによって生じる反りですからね(*'▽')


ちなみに、身体を反らすときに使う筋肉は主に「脊柱起立筋」。

この筋肉は確かに肋骨の挙上を助けるなど、呼吸に関与しますが、あくまでも「呼吸補助筋」です。

使いすぎるとすぐに疲弊して背中の張りや自律神経関連の症状が出現してしまいます。


できることなら、頻繁には呼吸に参加しないほうがいい筋肉です。脊柱起立筋は静かに姿勢保持だけに働いていれば、理想的な姿勢と呼吸が実現します。

 

 ここまでの説明で、脊柱の柔軟性がないと呼吸がスムーズに行われない、ということがわかりましたね。ただ呼吸しているだけでドンドン健康になるためには、脊柱の柔軟性も確保していくことが必要です!

 

脊柱の柔軟性UP!

 股関節や肩などの柔軟性を引き出すストレッチは大抵の人がやったことあるかと思うのですが、脊柱のストレッチはあまり馴染みがないのではないでしょうか?

 脊柱に意識を向けたストレッチはすごく気持ちがいいです。スッキリするのでオススメですよー(*'▽')

 

■キャットロール

 かわいい名前ですよね。

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これじゃありません。(笑)

 

 

これです。↓ ↓ ↓

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 四つ這いの姿勢から、お腹を背中にくっつけるような気持で、背中をグーッと天へ突きあげます。この状態で深呼吸を数回。

 次は、力を全部抜いて、腰が反るような形へ。このときの注意点として、腰を反る方向へあまりにも強い力を入れてはいけません。痛めてしまう可能性もあります。※このポーズで腰が痛ければ無理に行わなくてもいいです。

 コツとして、骨盤から徐々に動かして最後は頭、頭から動かして最後は骨盤のほうへ…というように、1つ1つの背骨を動かすイメージで行うと、脊柱の分離ができます。

 背骨を1つ1つ動かすことを『アーティキュレーション』というのですが、これができるようになると脊柱の柔軟性が飛躍的に向上します。腰痛や背中のハリ、首・肩こりなんかも撃退できてしまうほど効果の高いものです。ぜひ目指してみましょう!

この「アーティキュレーション」を獲得するためのオススメの運動は他にもあります。
それが『ロールアップ』です。

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一見、ただの腹筋運動のように見えますが、「起き上がるとき・寝るときに背骨を1つ1つ床から離していく」ことを目的としています。また、コアの強化、背部のストレッチも同時に行える効果の高い運動です。※腹筋力が落ちている人には難易度が高いので、難易度を下げた状態から行っていきます。

 

キャットロール・ロールアップ以外では、ねじりを加えるポーズも有効です。

こういう感じの。

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前回の胸郭を動かす動作も、脊柱を動かすことに繋がっているので、ぜひ両方意識してもらえると良いですね。

 

脊柱の動きを意識した呼吸

 さ、ストレッチが終わったところで、呼吸に沿った脊柱の動きを体感してしましょう!

 と言っても、背中に息をたっぷり入れるイメージで呼吸すると、自ずと呼吸に沿った脊柱の動きがでてくると思います。その呼吸をすると、背中がわずかに丸まるのと同時に背中側が突っ張る感じがしませんか?肺の拡大により、今まで伸ばされることのなかった背中側の筋が緩やかに伸ばされているのです。(コレがまた気持ちいい・・・。)

 

 逆に、息を吐くときは、脊柱は伸びます。

 それこそが、正常な呼吸に沿った脊柱の動きです。

 文字にするのは簡単ですが、実際にやってみると少しコツが必要です・・・。直接教えたい!(笑)

 

今回はここまで。ここまでで、上半身ゾーン(肩甲骨・胸郭・脊柱)はおしまいですね。次回は、上半身ゾーンの総まとめに入ります。これら上半身がどのように連携して動くかなどもお話していきます。ますます理解が深まると思いますよー!(*'▽')