自然を巡る生き方。 -生命と自然治癒力-

自然に則して生きることができたら、生命はもっと幸せなのだと思う。

呼吸とインナーユニットとミトコンドリアの関係性…自然治癒力を引き出すために…

 前回までは、なぜ食事と呼吸がヒトにとって重要なのかを、細胞・ミトコンドリア・エネルギー産生という面からお話してきました。

 今回は、呼吸について、もう少し掘り下げていきます。

 

全身の細胞へ酸素を届けるには

 効率の良い呼吸によって取り込まれた酸素は、最終的には1つ1つの細胞まで届けられます。それぞれの細胞がその酸素を元にエネルギーを創り出しているんでしたね。

 

 ということは、まずは酸素を肺胞まで十分に取り込む必要があります。(←外呼吸)この肺胞が酸素によってしっかり膨らむことで、初めて肺胞から血液中に酸素を受け渡すことができるのです。

 

外呼吸の仕組みと弊害

 外呼吸を極めるために、呼吸の予備知識を入れておきましょう。

 まず、肺は心臓のように自動的には動きません。じゃあ何で動いているか?それは『筋肉』です。

 息を吸い込むときに使われる主な筋肉が『横隔膜』と『外肋間筋』です。呼吸の9割近くを担っています。(だいたい横隔膜7割、外肋間筋2割)息を吐くときは、膨らんだ肺が元の大きさに戻るだけなので、筋肉は使われません。

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出典:呼吸の仕組み‐見て!わかる!解剖生理

 

 通常、横隔膜と外肋間筋が上手く働いてさえいれば、効率の良い呼吸は行われます。赤ちゃんの頃は、この機能を存分に使いこなすことができていました。

 

 しかし、大人になるにつれ、度重なるストレス乱れた生活などで、この2つの筋肉が働きづらい身体となっている人がとても多いです。

 

 呼吸の9割近くを担っているこの2つの筋肉が働きづらいとなると、身体にとっては死活問題です。入ってくるはずの新鮮な酸素の量が激減するわけですからね。この時点で、すでに全細胞のエネルギー生産能力は落ちています。生命活動に必要なエネルギーが足りていないのです。つまり、何かしらの不調が出現してもおかしくない状況です。

 

 しかし、ヒトの身体は「何とかして酸素を確保したい!」という命令をある筋肉たちに出します。それが『呼吸補助筋』と呼ばれる筋肉です。その筋肉は主に首・肩の近くにあります。(→胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋)

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出典:求む!呼吸補助筋について知りたいセラピスト

 

 この首・肩近くにある小さな筋肉を動員して、なんとか酸素を取り入れようとします。そのため、呼吸が浅い人は「肩で呼吸している」人が多いのです。しかし、この小さな筋肉たちを動員しても十分な量ではありません・・・。

 

 そして、やっかいなことに、この筋肉たちは普段呼吸に使われない筋肉なので、たちまち疲労してしまいます。すると、ガチガチに固まった首・肩コリが完成してしまうわけです。

 

 全細胞のエネルギー生産は落ちるわ、首・肩コリはひどいわで良いことなんて1つもないですね。だからこそ、『横隔膜』・『外肋間筋』の機能を引き出してあげることが大切になってくるのです。

 

呼吸と姿勢の関係性

 この横隔膜、呼吸の7-8割を占めているのですが、呼吸だけでなく、『姿勢保持筋』としても機能しています。姿勢保持筋とは、その名の通り、『姿勢を保持する筋肉』です。つまり、呼吸を整えるために横隔膜を鍛えると、自然と背筋が伸び、姿勢も良くなってくるのです。

 

 呼吸と姿勢を考える際に、一番重要になる身体の部位は『インナーユニット』、別名『コア』です。

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出典:体幹とは | 意味と重要性&基礎からのトレーニング10選

 

 このインナーユニットがしっかり働いていると、身体の安定性や姿勢・呼吸が一段と増し、不調や病気などにはそう簡単にはならない鋼の身体に近づきます。

 

 鋼の身体といっても、筋肉隆々のガチムチになれと言っているわけではないのでご安心を。(笑) ここで言う鋼の身体とは、少しのことで不調になったりしないような身体のことを指します。

 

 また、インナーユニットを働かせることは、ミトコンドリア活性化にも繋がります。

 

インナーユニットとミトコンドリア

 筋肉には『遅筋(赤筋)繊維』と『速筋(白色)繊維』の2種類があります。


■遅筋は、力が弱く、動きも遅いけれど、長時間働くことのできる持久力に優れた筋肉。酸素を使うことでエネルギーを得る
■速筋は、爆発的な力と素早い動きができるが、すぐにエネルギーが切れる。酸素を使わない「解糖系」という方法を主に使いエネルギーを得る。

 

 インナーユニットは呼吸や姿勢と深く関係しています。呼吸や姿勢は長時間行うことが必要なので、必然的に遅筋線維(赤筋線維)が多く含まれています。

 先ほど、『遅筋は酸素を使うことでエネルギーを得る』と書きました。

 

 酸素を元にエネルギーを生成する・・・? そうです、この遅筋ミトコンドリアを多く含む筋肉なのです。

 

 

 

 ということは、呼吸を意識することで得られる直接的な酸素の供給と、呼吸の副産物である姿勢筋の賦活はどちらもミトコンドリアが活性化するのに非常に効率が良いことなのです

 

 

 ミトコンドリアが働くと、全身の細胞のエネルギー生産率も増えます。それは、心臓や肺、脳の機能や、消化活動、免疫機能の向上が起こり、そのすべてが『自然治癒力』の向上へと繋がっていくのです。

 

まとめ

 ・呼吸には横隔膜・外肋間筋の機能が必要。
 ・呼吸と姿勢はインナーユニット(コア)と深い関係がある
 ・インナーユニットを構成する筋肉は遅筋繊維が多く含まれる。
 ・インナーユニットの促通はミトコンドリアの活性化に繋がる
   ↓  ↓  ↓
 ・以上を踏まえ、呼吸は自然治癒力を強力に引き出す1つの方法である

 

 

次回は、効率の良い呼吸をどう手に入れるかについてお話していきます!!